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事業承継を行うタイミングを考える時のポイントとは?


事業承継は、当事者や関係者の気持ちや利害が複雑に絡み合うことが多いため、タイミングが大変重要になります。

今回は、事業承継をするタイミングを考える時のポイントについて解説していきます。

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そもそも事業承継とは?

事業承継とは、現在の経営者が自身の会社、もしくは事業を他の人物、つまり後継者を探して引き継ぐことを言います。

事業継承においては、その事業そのものだけではなく、会社であれば株式やその他の財産、役職など、その事業に関する全ての物を後継者に引き継ぐことになります。それらはすべて譲渡と見なされます。一方で、元の経営者が死亡して後継者が事業継承をすることになった場合、それらの物はすべて財産とみなされ、相続税の課税対象となります。相続税の課税対象となる財産はさまざまで、会社の株式や社屋などはもちろん、事業に関する権利など、大きなものから小さなものまでに評価額をつけ、それに応じて相続税を課税することになります。

事業継承については、ただ相続権を持つ相続者に引き継げばよいというものではありません。その事業を続けていくのであれば、後継者選びも慎重にならなければなりません。また、その他の人物を選定して後継者に任命する場合でも、上記のような税金の事などを考慮して進めていく必要があります。

事業承継の選択肢と選択肢別メリット・デメリット

事業承継を行うタイミングを考える時のポイント

事業承継をする場合は、会社の事業や経営状態、後継者の有無など、会社や経営者を取り巻く状況を把握することが大事です。事業承継をする際に、考えるべきポイントとはどのようなことでしょうか。

後継者に経営者の自覚ができてきた時

会社の経営者となるには、仕事や経営の能力だけでなく、従業員の生活を守るとともに事業によって社会に貢献するといった、経営者としての自覚を持つことも重要になります。いくら経営の能力が高くても、経営者としての自覚がない後継者が会社を発展させていくのは難しいでしょう。

しかし、経営者の自覚というのは、人に始めから備わっているものではありません。現在は自覚を持っている経営者も、多くの場合は経営の経験を通して自覚を養っていったはずです。後継者には後継者教育のなかで、経営者としての自覚を持ってもらうことが重要になり、後継者に自覚がでてきたら事業承継のよいタイミングであるといえます。

後継者が順調に育っている時

親族を後継者候補にする場合、事業承継の何年も前から後継者教育を行うことになり、その成長具合から後継者としての適性や、事業承継を実行するタイミングを探っていくことになります。後継者が順調に育ち経営を任せられると感じた時は、事業承継のよいタイミングに入っているといえるでしょう。

ただし、この時点でまだ現経営者に気力や体力が十分あり、まだ経営者としてやっていける場合は判断が難しいところでもあります。現経営者が経営を続けて後継者には事業承継を待ってもらう場合と、早めに現経営者が引退する場合とで、どちらのタイミングがよいかを考えることになります。

どちらがよいかは個々の会社の事情によって違ってくるので、現経営者と後継者がよく話し合ったうえで、最適なタイミングを決めていくことが大切です。

経営がある程度安定している時

事業承継は後継者の能力や意欲だけでなく、企業の経営状況にも注意が必要です。基本的には「業績が安定しているとき」に事業承継をおこなうようにしましょう。その理由は「経営者が交代した直後は一時的に経営が不安定になってしまう」からです。

経営者が変わるということは企業に大きな変化を与えることになります。仕事の関係者の中には現在の経営者のことを信頼しているからこそ仕事をくれる取引先や、発注費用を値引きしてくれる企業などもあるでしょう。新しい人物が経営者になると、現在の経営者の信頼によって成り立っていたものが一旦白紙になります。すると、仕事が減ったり、仕入原価が増加したりと経営に何かしらの問題が発生する可能性があるのです。 ただし、この現象は一時的なものであり、後継者もしっかりと自分の責務をこなしていけば周囲からの信頼が得られ、次第に経営が安定していくでしょう。その信頼を得るまでの期間を持ちこたえられるようするためにも、業績が安定した時を見計らって事業承継をおこなうことが大切になります。

さらに、業績が安定しているときに事業承継をするのにはもう一つ理由があり、それが「社員たちのモチベーションを維持するため」です。業績不振だから経営者自ら辞任をするというのは、業績不振の企業ではよくある光景かもしれません。ですが、こうした状況で事業承継をすると、残された社員たちは「自分たちがこれから苦しい思いをするのに、経営者はそれが嫌で去っていった」などと思うようになり、企業に対して非協力的になってしまう場合があります。たとえ後継者が優れた能力を持っていたとしても社員たちの協力なくしては業績不振の克服はできません。そのため、業績が良くない状態での事業承継はなるべく避けるようにしましょう。

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後継者の年齢が若い時

事業承継をうまく実行したい場合は後継者の年齢が重要となります。できる限り後継者が40代のうちに事業承継を完了するようにするといいでしょう。ちなみに中小企業庁が出しているデータで、事業承継のタイミングについて「ちょうど良い時期だった」と回答する現経営者の承継時の平均年齢を見ると、43.7歳でした。

また、後継者の年齢だけでなく、経営者側の年齢も考慮しなければいけません。経営者が事業承継を考えるようになるのは60代から80代と年齢のばらつきがありますが、今後の事も考えて早めに事業承継を行うことも大切になります。

事業承継には時間がかかる?

事業承継における株式譲渡や相続・贈与の手続き自体は、そこまで長い時間がかかるものではありません。長くても数か月程度あれば、全ての手続きを完了することができます。事業承継で最も時間がかかるのは、後継者教育の期間と事業承継後の統合プロセスです。これらの期間はそれぞれ数年程度かかるのが一般的であるため、事業承継には長い時間がかかることを自覚しておく必要があります。

具体的に何年かかるかは、承継の仕方などにより一概には言えませんが、中小企業庁が出している「事業承継ガイドライン」によると、事業承継には5年から10年の期間がかかるとされています。10年というのはかなり長い期間で、例えば70歳で引退すると仮定すると、まだまだ体力・気力のある50代後半のうちから、事業承継のタイミングを模索し始めなければならないことになります。

ただし、これだけの期間がかかるのは、親族や社員を後継者にする場合です。M&Aによる事業承継の場合は後継者教育の期間がないので、事業承継にかかるトータルの期間は短くなります。

まとめ


いかがでしたでしょうか?今回は、事業承継をするタイミングを考える時のポイントについて解説しました。

特に経営者が高齢にさしかかった企業にとって事業承継はすぐにでも取り組んでおきたい課題です。仮に後継者が見つかっていたとしても育成や引き継ぎにはある程度の時間を要しますが、事業承継には様々な形があり、進め方で経営状況が大きく左右されることもあるので計画は慎重に立てる必要があります。

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